【配偶者短期居住権】6カ月間の猶予期間

配偶者短期居住権とは

配偶者短期居住権とは、相続時点で配偶者が住んでいる住居を相続した者から、家賃の支払いを求められたり、処分するので退去してほしい等の要求があった場合に、要求を呑むのか、退去するのかなどの選択を行い、対処するために必要となる期間として6カ月間は住み続ける事を保障するための規定です。「配偶者居住権」と同じ平成30年に民法を改正し創設されました。(民1037条~1041条)

6カ月間の居住を保障された期間の中で「配偶者居住権」を遺産分割協議で主張したり、家庭裁判所の審判を求めるのか、または、要求を受け入れるのかなどの身の振り方を考える必要があります。

「配偶者居住権」については別記事【配偶者居住権】住み慣れた自宅に住み続けたい をご参照下さい。

配偶者短期居住権の要件

法律上の婚姻関係にあること

被相続人と法律上の婚姻関係にあること。事実婚等の内縁関係は対象となりません。

相続開始時に居住していたこと

配偶者が相続開始の時に実際にその家に無償で居住していたこと。

配偶者短期居住権を取得するには

配偶者短期居住権は配偶者居住権と違って、要件を満たせば当然に取得する権利ですので、遺産分割協議等の必要はなく6カ月の期間内は住み続けることが出来ます。

配偶者短期居住権の存続期間

配偶者短期居住権の存続期間は、居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産分割をすべき場合には、遺産分割終了時から6カ月又は、相続開始時から6カ月のどちらか遅い日までとなります。

また、遺贈などで居住建物を入手した者(居住建物取得者)が配偶者短期居住権の消滅を主張した場合は、主張した日から6カ月となります。

居住建物の使用

配偶者短期居住権の対象となる配偶者は無償で今までと同様に居住建物を使用することが出来ます。
但し、使用にあたっては善管注意義務(自分のもの以上に大切に扱う義務)が課せられていて、第三者に使用させる場合などには、居住建物取得者の承諾が必要です。

配偶者が善管注意義務や所有者の許可なく第三者にその住居を使用させたりしている時は、居住建物取得者は配偶者短期居住権を消滅させることが出来ることになっています。

また、居住権の譲渡禁止(民1032条2項)、居住建物の修繕等の規定(民1033条)、居住建物の費用の負担(民1034条)について配偶者居住権の規定が準用されています。

配偶者短期居住権の消滅

配偶者短期居住権は存続期間が満了すると消滅しますが、次ようなときにも消滅します。
配偶者が配偶者居住権を取得した時には当然、配偶者短期居住権は消滅します。
また、配偶者の死亡、居住建物が全部滅失した時、所有者から消滅請求がされた場合にも消滅します。

配偶者短期居住権が消滅したときには居住建物を所有者に返還しなければなりませんが、配偶者が居住建物について共有持ち分を持っていれば、居住建物取得者は、配偶者短期居住権が消滅したことを理由として、居住建物の返還を求めることが出来ないとされています。

また、民法の借主による収去等(民599条1項、2項)、賃借人の原状回復義務(民621条)が居住建物の返還時には準用されています。

まとめ

配偶者短期居住権が追加された背景には、相続によって配偶者が住み慣れた家を出ていくにしても、配偶者居住権を主張するにしても、それなりの時間が必要なため6カ月間の期間を限って、住み続ける権利を明確にする必要があるとの考えであると思います。

よく例として出されるのが、夫が亡くなった後、夫名義の家を先妻の子供と共同で相続した場合に、先妻の子供から、「この家に住み続けるのなら自分(子供)の持ち分の家賃を払ってほしい」と言われたが、言われた家賃を支払えないので家を出て行かざるを得ないといった話です。
先妻の子供にももちろん言い分はあるのでしょうが、夫名義とはいえ、妻も共に資産形成にかかわって来たであろうに、なんともやるせない話です。

このような事態を防ぎたいのなら、やはり残される配偶者のためを思って遺言を残しておくべきと思います。配偶者の側からも将来に起こる可能性を考えて遺言を残してもらうよう働きかけても良いと思います。
遺言書を残す場合は、決められた様式があります、せっかく書いても無効となることもあります。このような事態にならないためにも専門家のサポートを受けると安心です。
残された相手のことを思い、自分の財産を最も望ましい相手に譲り渡すためには、正しい様式で遺言書を残す事をご検討ください。

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