相続登記義務化の背景
不明土地の現状
不動産の相続が発生しても、登記が義務化されていない事や、相続人にとっては特に不利益もなかったことから、登記がされない事が多く起きていました。
その結果、容易に所有者にたどり着くことの出来ない所有者不明土地が大量に発生するに至っています。国土交通省(R2)の調査によればその面積は全国の24%の土地におよび九州本島の大きさに匹敵すると言われています。
不明土地が及ぼす影響
所有者の調査に多大な時間と労力が必要となり、結果として土地の利活用が進まないことで起きる経済的な損失や、管理されずに放置された土地が、近隣地域へ悪影響を与えるなどの問題があちこちで起きています。
このまま手を打たない場合には不明土地はさらに増え続け、将来にわたって国民の経済活動や生活に悪影響を与え続けることでしょう。
相続登記義務化の内容
基本ルール
相続または遺贈によって不動産の所有権を入手した相続人及び受遺者は、正当な理由なく「自己のために相続開始があったことを知り、かつ、不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内」に相続登記の申請をしなければ10万円以下の過料が課せられる事があります。
登記のための必要な資料が関係者が多くてなかなか集められないなどの、正当な理由があれば罰則の対象にはならないとされています。
遺産の分割が出来ていない状態であっても、その不動産に相続が発生した事実を登記しておく「相続人申告登記」での登記申請をする必要があります。
遺産分割時の追加ルール
基本ルールで遺産分割前の「相続人申告登記」を申請していた時には、その後、遺産の分割協議により不動産の所有者が確定した時は、遺産分割が成立した日から3年以内に登記申請をする必要があり、違反すれば基本ルール時と同様に10万円以下の過料が課せられる事があります。
相続人申告登記
遺産分割の協議が済んでいない状態でも、簡易に登記簿上相続があった事を登記する制度です。この申し出をすることで登記義務を果した事となり10万円以下の過料を課せられることはなくなります。
複数の相続人が要るときは、代表者が全員分の申し出をすることも出来ます。あくまで相続が発生した事を届けるための手続きなので、いづれ遺産分割協議を行い上記の「遺産分割時の追加ルール」にしたがって所有権の登記を行って下さい。
改正以前も対象
相続登記の申請義務化の対象は、改正法施行日(令和6年4月)前に相続が発生している不動産も対象となります。以前の相続時の相続財産に不動産が含まれていたが登記をしていない方も対象になりますので、事前に確認を進めておくとよいでしょう。
まとめ
現在、大きな社会問題となっている所有者不明土地の増加を防止するための一助となるように令和6年4月から導入されるルールです。
すでに不明土地となっている不動産の活用についても共有関係の解消が可能な制度が令和5年4月から始まるなど、少しづつ改善する方向に制度が改正されています。私たちも不明土地の解消を先送りすることなく取り組んでいきたいと思います。
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