<スキャナ保存とは>
2024年1月から運用開始される改正電子帳簿保存法の3つの区分の内、スキャナ保存について前回の記事より詳細に解説します。(実際の施行は2022年1月)。
文書保存の負担を軽減するために、各税法で保存が義務付けられている書類を、紙のままでなくスキャナ(スキャナ読み取り以外にもスマホやデジカメでの撮影も可)で電子データにして保存出来することで紙の保存が不要となる制度の事です。
<対象となる帳票の例>
重要書類(資金や物の流れに直結・連動する書類):契約書、納品書、請求書、領収書 など
一般書類(資金や物の流れに直結・連動しない書類):見積書、注文書、検収書 など
※これらの例示書類の保存期間は、法人税法上7年間の保存が義務付けられている。
<スキャナ保存するたの要件>
保存のための要件
- 入力期間:受領後、おおむね7営業日以内、または事務規定を定めてある場合は、最長2カ月経過後おおむね7営業日以内にスキャンする必要がある。
- 画像の解像度:200dpi以上で赤、緑及び青色の階調が256以上階調以上
- タイムスタンプ:変更されていないことが一括して確認出来ること。
- 読取情報の保存:読み取り時の解像度、階調や大きさの情報保存すること
- バージョン管理:訂正、削除を行った場合の記録を残すこと
- 入力者等情報の確認:入力を行うもの又はその者を直接監督する者が分かるようにしておくこと
- 帳簿との関連性:帳簿との関連性がわかること
- 照会のための環境:データ照会のための機器類を備え付け必要に応じて画面・書面等に明瞭に出力できる環境があること
- システム資料:設計書等のシステム関係書類等が備わっていること
- 検索機能:取引年月日等の日付、取引金額、取引先での検索が可能なこと。調査時にダウンロード出来ないシステムであれば、さらに範囲による検索や複数項目による条件検索も必要。
<手続き>
特に必要なし。期間の途中からでも始められる。過去分重要書類のスキャナ保存には届けが必要。
<まとめ>
やらなければやらないで良いが、今回の改正の中ではもっとも事業者の利便性を向上させる部分ではあるので、PDF等の電子データ保存と合わせて導入を検討すると良いのではないかと思う。
また、いずれ導入する予定なら、どうせならIT導入補助金がある今のうちに導入したほうがいいでしょう。
制度を活用するための要件が多いので専用ソフトの導入なしには紙をスキャンしての電子保存は難しいと思われる。
専用ソフトの選定にはJIIMAの認証を受けているものが安心できるが、有名ソフトの中に未認定のものがあるのはなぜなのだろうか。
専用ソフトの中には紙の帳票(INPUTデータ)をデータ化する代行作業と紙の原紙を10年間保管するサービスを合わせて提供するものもあるようだ。いづれにしても、紙の原本を破棄するかの判断は慎重に行う必要がある。日々の調査等のメインのデータは電子データを利用する事として、原本はデータ消失などの最悪の事態に備えて、箱なりの容器に放り込んだ状態で10年間は、念のため保存するのがベストな運用ではないか。
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