戸籍にカナ氏名を追加する戸籍法の改正
戸籍法を改正してカナ氏名を戸籍情報として追加する改正戸籍法が6月2日の参院本会議で成立し、2024年度にも施行されるらしい。
具体的な時期はこれから決まっていくのだろうが、既存の戸籍にもカナ氏名を新たに追加するなど、以下のように全国民が影響を受けることになる制度改正となっている。
- 戸籍に氏名のカタカナ表記が追加される
- カタカナ表記は氏名の読み方として一般に認められているもの
- 今ある戸籍への追加は各々で申請して登録する
- 登録しないときは市町村長が通知した上で代わりにこれと思われるカナ氏名を登録する
市町村長の職権登録では何を見て参考にするのか。第2の2の(9)に仮名表記に関する情報の提供を求めることができる、とあるのでカナ名称を持っている健康保険証などを参考にするのかもしれない。
「戸籍法等の改正に関する要綱案(令和5年2月2日)」の詳細は以下の通り。
第1 氏名の仮名表記の戸籍の記載事項化に関する事項
1 戸籍の記載事項への追加
戸籍法第13条に規定する戸籍の記載事項として「氏名を片仮名等で表記したもの(以下「仮名表記」という。)」を追加するものとする。
(注)氏名の仮名表記に用いるのは、現代仮名遣い(昭和61年内閣告示第1号)本文第1に定められた直音、拗音、撥音、促音を片仮名に変換したもののほか、片仮名表記の小書き及び長音記号等とする。
2 氏名の仮名表記の許容性及び氏名との関連性
氏名の仮名表記の許容性及び氏名との関連性に関する審査について、戸籍法に「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」という趣旨の規定を設けるものとする。
(注)市町村長の行う本文第1の2の審査においては、幅広い名乗り訓等を許容してきた我が国の命名文化を踏まえた運用とする。
第2 氏名の仮名表記の収集に関する事項
1 氏又は名が初めて戸籍に記載される者に係る収集等について
⑴ 戸籍の届書の記載事項(戸籍法第29条)に届出事件の本人の「氏名の仮名表記」を追加するとともに、棄児発見調書(戸籍法第57条第2項)の記載事項に「氏名の仮名表記」を追加し、氏又は名が初めて戸籍に記載される者の氏名の仮名表記を戸籍に記載するものとする。
⑵ 届書の記載事項の整理
届出人と届出事件の本人が同一である場合にも、戸籍法第29条に規定する戸籍の届書の記載事項として「届出事件の本人の氏名」を明記するものとする。
2 既に戸籍に記載されている者に係る収集について
経過措置として、次のような趣旨の規律を設けるものとする。
⑴ 新法の施行の際現に戸籍の筆頭に記載されている者(以下「戸籍の筆頭者」という。)は氏の仮名表記の届出を、戸籍に記載されている者は名の仮名表記の届出を、それぞれ施行日から1年以内にすることができるものとする。
⑵ 戸籍の筆頭者が当該戸籍から除籍されているときは、第二順位として配偶者、第三順位として子(いずれもその戸籍から除籍された者を除く。)が施行日から1年以内に限り、氏の仮名表記の届出をすることができるものとする(既に当該戸籍について⑴の氏の仮名表記の届出がされた場合を除く。)。
⑶ 新法の施行の際現に戸籍に記載されている者(戸籍の筆頭者を除く。)であって、施行日以後に新戸籍の筆頭に記載されるものは、施行日から1年以内に限り、氏の仮名表記の届出をすることができるものとする(新戸籍に記載される氏について、既に⑴又は⑵の氏の仮名表記の届出がされた場合を除く。)。
⑷ 本籍地の市町村長は、施行日から1年を経過した日に、氏名の仮名表記を戸籍に記載するものとする(氏の仮名表記については、⑴、⑵又は⑶の届出がされた場合を除く。名の仮名表記については、⑴の届出がされた場合を除く。)。
⑸ 本籍地の市町村長は、施行日後遅滞なく、戸籍に記載されている者に対し、⑷により記載しようとする氏名の仮名表記を通知するものとする(あらかじめ通知することが困難である場合を除く。)。
⑹ 戸籍の筆頭者は⑷により記載された氏の仮名表記について、戸籍に記載された者は⑷により記載された名の仮名表記について、それぞれ一度に限り、家庭裁判所の許可を要せず、届出のみで変更することができるものとする。氏の仮名表記の変更の届出について、戸籍の筆頭者に配偶者があるときは、配偶者とともに当該届出をしなければならないものとする。
⑺ ⑹により氏の仮名表記の変更の届出をすることができる戸籍の筆頭者が当該戸籍から除籍されているときは、第二順位として配偶者、第三順位として子(いずれもその戸籍から除籍された者を除く。)が氏の仮名表記の変更の届出をすることができるものとする(既に当該戸籍について⑹又は⑺の氏の仮名表記の変更の届出がされた場合を除く。)。
⑻ ⑴、⑵、⑶、⑹又は⑺により、戸籍の筆頭者又は戸籍に記載されている者が、氏名の仮名表記として、一般に認められている読み方以外の読み方によるものを届け出る場合には、現に使用していることを証する書面を提出しなければならないものとする。
⑼ 本籍地の市町村長は、⑴から⑻までに必要な限度で、関係地方公共団体の長等に対し、戸籍に記載されている者の氏名の仮名表記に関する情報の提供を求めることができるものとする。
第3 氏名の仮名表記の変更に関する事項
1 氏又は名の変更に伴わない場合の規律
戸籍法に次のような趣旨の規律を設けるものとする。
⑴ やむを得ない事由によって氏の仮名表記を変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。
⑵ 正当な事由によって名の仮名表記を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。
2 氏又は名の変更に伴う場合の規律
戸籍法第107条及び第107条の2の規律を次のように改めるものとする。
⑴ 戸籍法第107条第1項の規定により氏を変更しようとするときは、氏及び氏の仮名表記を変更することについて家庭裁判所の許可を得て、その許可を得た氏及び氏の仮名表記を届け出なければならない。
⑵ 戸籍法第107条第2項の規定により外国人配偶者の称している氏に変更しようとするときは、婚姻の日から6か月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨及び変更しようとする氏の仮名表記を届け出ることができる。
⑶ 戸籍法第107条の2の規定により名を変更しようとする者は、名及び名の仮名表記を変更することについて家庭裁判所の許可を得て、その許可を得た名及び名の仮名表記を届け出なければならない。
第4 その他
その他所要の規定を整備するものとする。
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